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逆襲のフィメス
第2章 美しき襲撃者
生い茂る熱帯植物の葉を叩く激しい雨。
スコールの轟音に埋没するようにして、揃いのマントの一団がジャングルに潜んでいた。
じっと息を潜め、雨音の変化を待っている。水滴の滴るフードの目深から窺う視線の先には小さな集落があった。
「抜刀……」
指揮官の低い声。
皆、無言で腰に下げた剣を抜く。
これもまた揃いの形状。
薬指を引っかけるための輪が柄の部分についた、悪名高きフィメスの軍刀だった。
この輪は「戦との婚約指輪」と呼ばれ、戦いのさ中に剣を落さぬための機能以上に、戦に生き戦に死すフィメス戦士たちの獰猛さの象徴として畏れられている。
降り始めたときと同じように、出し抜けにスコールが止んだ。
これを待っていた。
スコールの轟音に埋没するようにして、揃いのマントの一団がジャングルに潜んでいた。
じっと息を潜め、雨音の変化を待っている。水滴の滴るフードの目深から窺う視線の先には小さな集落があった。
「抜刀……」
指揮官の低い声。
皆、無言で腰に下げた剣を抜く。
これもまた揃いの形状。
薬指を引っかけるための輪が柄の部分についた、悪名高きフィメスの軍刀だった。
この輪は「戦との婚約指輪」と呼ばれ、戦いのさ中に剣を落さぬための機能以上に、戦に生き戦に死すフィメス戦士たちの獰猛さの象徴として畏れられている。
降り始めたときと同じように、出し抜けにスコールが止んだ。
これを待っていた。