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逆襲のフィメス
第1章 プロローグ 夜の始まり
 入場料は前金で200リンス。

 そこに足を踏み入れるだけでカネを取られるのはどういう類の酒場か。

 薄暗い灯りの中で、肌も露わな若い女たちが給仕する。ときおり、男たちが助平心のままに、きわどい衣装の中へとその手を滑り込ませてチップをはずむ。

 その度にわき起こる下卑た笑い声。だが、酌婦たちも自分たちの魅惑的な体が売り物の一部となっていることにまんざらでもないようで、媚びた笑みを浮かべて立ち働いていた。

 店も客も、どんな娯楽を提供し、されるべきか、ここがどういう場所かをよく心得ている。ここはそういう類の酒場だった。

 そして今、場違いな者は一人もいなかったこの酒場へ、足を踏み入れた一人の「異分子」がいた――。

 全身を覆う使い込まれた旅の装い。すっぽりとフードをかぶっているせいで、どんな顔つきなのかもわからない。明らかに他の常連客とは違う出で立ち。土地の者ですらないだろう。

 だが、カネさえ払えば同じ客だ。ここはそういう店なのだから。
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