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逆襲のフィメス
第2章 美しき襲撃者
「ぐああああっ!」

 口から血を吐き、たたらを踏む男。ラーナはそのまま男を軽く突き飛ばして身を翻すと、手にしたポーラ(投擲縄)を投げつける。

「フンッ!」

 ドサッ!

 重りのついた生け捕り用の武器に両足を絡めとられて男は地に転倒し、今度こそ起き上がることができなくなってしまった。

 それを部下たちが取り押さえる。

「隊長、お怪我は?」

「フ……かすり傷ひとつ受けておらぬ。他愛もない……」

 地を這いながら、憎しみもあらわに睨む男に向かってラーナは一瞥をくれ、それから辺りを見渡した。

 戦闘はほぼ終息していた。

 集落のあちこちで、捕えられた憐れな犠牲者たちが、引っ立てられ始めていた。

 戦果に満足気にうなずくと、ラーナは倒した男を見下ろして、部下に指示を出す。

「こいつがリーダー格か? よし、この男をそこの木にくくりつけろ。そして捕えた男と女を集めるんだ。やるぞ……いつもの通りだ」

 略奪者の時間が始まる。
 ラーナのお気に入りの愉悦の時間が。




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