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逆襲のフィメス
第4章 婚礼前の水浴
 生い茂る緑。

 陽光に透ける大きな葉をかきわけて水辺に出ると、そこには照り付ける真昼の眩しい光が溢れていて、私は思わず目を細めてしまう。

 手をかざして影を作り、目をいたわりながら、ひんやりと涼しい空気の感触に肌が潤いを取り戻す。

 遠くから聞こえる滝の音。その滝壺から流れ出る川のせせらぎは、よく耳を澄ませばちゃんと聞き取れる。この辺りまでくると、もう水の流れはゆるやかとなって静かなものだけれど。

 村の女たちは皆、水汲みの合間にこの河辺で水浴びをして、労働に火照った身体を休ませる。私もそうだ。

 今日何度目かの村との往復。私は、慣れた足取りで大きな岩から岩へと伝い、河面に接するひときわ大きく平らな岩まで降りると、手にしていた空の水瓶をそこに置いた。

 眩しさに目が馴れるのを待って辺りを見回す。誰もいない。

 向こう岸もこちらの岸も、岩場の上までジャングルがせり出している。

 近くにワニオイドリの姿もない。

 小さいけれど、鮮やかな青い羽毛はよく目立つ。鳥たちと共生する危険なワニは、今ここにはいないということだ。
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