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第4章 婚礼前の水浴

　……よかった。

　私は足元へ服を滑り落とし、裸になると、輝く水面の中にゆっくりと身を沈めていった。。

　いつもの岩場だ。深さはわかっている。腰あたりの水かさの所まで少し歩く。

「気持ちいい……」

　通ってゆく風に抱かれて私は思わず声を漏らしてしまった。

　ふと、ログスの逞しい腕の中にいる自分の姿を想像してしまい顔を赤らめる。

　はしたない。もうあと数日で婚礼だというのに、我慢ができないのかしら。

　だめよ、サヤ。

　自分で自分をやんわりと叱る。

　幸せだ。
　見上げれば、空だっていつもより高くまで延びているよう。

「ああ、ログス……」

　私は水の中の下腹部に目を落す。

　水面の反射のせいで、真っ青な空の中に身をひたしているように見える。空が、雲が、河の中を流れてゆく。

　そこに映った私の顔。
　喜びに満ちた、美しい顔。
　自分でもそう思った。