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逆襲のフィメス
第4章 婚礼前の水浴
「こりゃやべえっ! アンザロの兄貴、逃げろ……」

「クソッ……サヤをこっちへ……」

「そんな場合じゃねえって! モタモタしてっと殺されるぞ!」

 おたつくアンザロたちを足で蹴り離して、私は水の中に潜った。

「……憶えてやがれっ!」

 対岸へと逃げてゆく三人のならず者たち。その反対へ、ログスの居る方向へと私。

「ログスッ! ああっ……ログス!」

 来てくれた……助けに来てくれた!
 そのことで、胸がいっぱいになる。

 ログスが川に飛び込み、私目掛けて真っ直ぐに泳いで来る。
 私もログスの胸の中を目指して水を掻く。

「サヤ!」

「ログス!」

 抱き合い、無事を確かめ合う。抑えきれない想いが込み上げて、ログスの首に腕を回した私は、そのまま唇を愛しい人に押し付ける。

「サヤ……」

 一瞬、困った表情で、唇を外すログス。でも、私の瞳を潤ませているのが川の水ではないのを見て取ると、次の瞬間には今度はログスから、私の唇を吸って慰めてくれた。

 ログス……愛してる。

 私は貴方の妻になる……。




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