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ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風


本当に中高生だったら良かったのに。
好きって言葉を口にするのは昔だって勿論、すっごく勇気がいったし難しかった。
それでも学生の頃は好きだって気持ちだけで良かった。建前だとか立場だとかそんな打算的なことは一切関係なくただ自分の気持ちさえ確かであればそれで良かった。


だけど大人になったらしい今は好きだけじゃなくて色々な考えが邪魔をするようになった。
恋愛に関して弱気になっている気がするのは色々な経験をしてきたからなのか。
それが大人になったからだと思うと寂しい気もする。



それに、


「ちょっとだけ。ちょっとだけなんですけど…まだ誰かと付き合うのが怖かったりするんですよね」


まだそうやって思う自分がいるから。


部長の気持ちに答えたいって気持ちが強くなっても、その気持ちに自分が気付いても、どこかにある不安が消えることはやっぱりない。

私は結局いつでも自分が一番可愛くて傷付くことを必要以上に恐れてる。



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