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ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風


「香織さん……」


その言葉に何故か胸が熱くなった。

……決して、飲み過ぎたせいじゃなくて。


どれだけからかわれようとおもちゃにされようと香織さんに聞いてもらいたいと思うのは、いつでも私を救い出す言葉をくれるからだ。

最近の私は皆に背中を押されてばかり。


やっぱり、私の先輩は素敵。羨望の眼差しで見つめる先の美しい人は、再び私に微笑みかけーー



「と言うことで……」



「え?」


ーーたかと思えば、いつもの企み笑いを浮かべた。
冷や汗が背中を伝う感覚が私を襲う。



「ちゃんとヤりなさいよ。そろそろだと思ったのよね」



「ヤるって!?そろそろってなにが!?」





香織さんの視線が私の後ろに流れて、



「こんだけ煽ってやったんだから」



それにつられて振り返った先にいたのは。



香織さんの彼氏の宏樹さん。




それと、この流れで行けば勿論。





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