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ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風

「なに俺を見て嫌な顔をしてるんだ?」


私を見つけて、驚いた顔をした直後に眉にシワを寄せて睨んで歩いて来た。
だけど、こんな不機嫌な顔をさせたのは間違いなく私で。

しまった!そう思っても後の祭り。


「い、いえ!嫌な顔なんてまさか!私って目が悪いんで目を凝らしてただけですよ~!」


「それなら眼鏡でもかけとくんだな」


「そうですよね~ははは」


だって、タイムリー過ぎでしょ!今の今で!
嫌な顔をしたいのはどちらかと言えば香織さんに対しててで。
まぁ、部長を見た瞬間ゲッ!って思ったのは間違いないけども。

私達の隣の椅子を乱暴に引くとそこに腰をおろす部長様。


「慶司、お前がそんな態度だから莉乃ちゃんに嫌われるんだよ」


席についた宏樹さんはそんなことを言った後で私にお疲れさまと微笑みかける。
それに、またしても眉のシワを増やす部長。

……宏樹さん今の絶対わざと言ったよね?わざと不機嫌にさせたよね?



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