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ガラスの靴がはけなくても
第7章 春の風
あれから、どれだけ経ったんだっけ?
私には長くも短くも感じる時間だった。
きっと、その中で変わったものが沢山あって。
ほんの数メートル先にいるあの人は、何も変わってないように見えても私と同じ様に変化しているはず。
私の視線を辿る様に、同じ方を見つめる部長。
「なぁ、藤野」
その声はいつも以上に凛として優しくて、
「…はい」
なのにそれに返事する私の声はとても弱々しく震えていて。
私のその声を聞いて、ふっと笑いを漏らした部長の顔を見れなくて。
この時、動揺していつも通りに答えることが出来なかった自分にすぐさま後悔することになる。