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ガラスの靴がはけなくても
第2章 キスの温度
今日は朝から疲れる。
失恋の痛手に立ち直るもなにも、落ち込む暇すらないって感じ。
まぁそれはそれで今の私にはありがたいんだけど。
あれから……、金曜日の夜は本当に眠ることが出来なかった。
悲しくて寂しくて辛い夜になるはずだったのに。
突然のキスに私の頭の中は引っ掻き回された。
悟の顔と、部長の顔とが交互で浮かんで。
そして自己嫌悪に陥る。
大体、彼氏と別れたその日に違う男とキスするなんてどうなの……?!
どうなのもなにもありえないに決まってる!
しかも相手は会社の上司なんて……!
……でも、何が一番ありえないって部長のことを拒まなかった自分。
イヤなはずなのに。
拒まないといけないのに。
"忘れさせてやる"
その言葉に完全に流された。