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ガラスの靴がはけなくても
第2章 キスの温度



あの瞬間私は何も考えられなかった。


感じていたのは、シトラスの香りに混ざった煙草の匂いに、熱い温度だけ。



どうかしてたと思う。
人肌恋しかったのか、現実逃避なのか。

どう考えても、失恋を言い訳にするしかなかった。



たかがキスくらいで大袈裟だって言われるかもしれないけど、私にとっては大袈裟どころの話じゃなくて。



だって、私あの時――…




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