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ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜

好きだと言わなくなったのも言われなくなったのも、付き合ってから月日が流れていたからだと思ってた。
連絡が無いことが何日か続いても会う回数が昔に比べて少なくなってもそんなものだと思ってた。


いつから彼の気持ちが私から離れていっていたのか分からない。
もしかしたらもっと前から私達の関係にはヒビが入っていたのかもしれない。


だけど、今日の今日まで別れることがあるなんて疑いもしていなかった。自分の愚かさに呆れる。

どうして相手の気持ちを考えていなかったんだろう。
どうして聞いてもいないのに相手も自分と同じ気持ちでいるなんて思っていたんだろう。





お昼休みに三日ぶりに掛かってきた電話。
たった数分で私の、私たちの三年はあっという間に崩れ去った。


三日ぶりに鳴った着信音に心が踊ったことを彼は知らない。

別れようと言われた言葉に涙を飲み込んだことを彼は知らない。







本当は今でも好きだってことを彼は――……






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