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ガラスの靴がはけなくても
第4章 揺れる

私をじっと見据える目。それに居心地の悪さを感じる。

やっぱり私は声を出すことが出来なくて、部長の視線から逃げるように俯いた。



「昨日、"どこまで覚えてる"のか知らないが。居酒屋から出た藤野はタクシーを拾おうとしてた。で、そこに澤村が来た訳。俺が送ってくって。まぁ、藤野は断ってたみたいだけど」



「………」



「だから、俺が連れて帰った」



………昨日の状況を説明してくれてるのは分かる。でもすごく話が飛んでる気がする。
どうして急に部長が連れて帰る流れに?みんなもいたのに?


「車に乗った瞬間に藤野は寝た。あぁ、俺は車があったから飲んでなかったからな」



正直タクシーを捕まえようとしてたとこまでしか記憶がない。澤村くんと話した覚えもなければ部長の車に乗った覚えもない。
ほんとに怖い。何を言っていたのかその時の行動すらも覚えてないなんて。聞き返したい気持ちはあるのにこの状況で自分の醜態を飲み込める自信がない。

何も返事をしない……と言うよりできない私に気にする様子もなく話し続ける。

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