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第27章 信頼 -理香side-

「プラン出来た？」
向かいに座る祐樹が顔を上げる。

「うん。ざっくりだけどね」

「あれ？意外と普通…」
図面を眺めながら、不思議そうな顔をする。

「この情報だけじゃ、これ以上は冒険になるよ。
ここから先は、打ち合わせして詰めないとダメだよ」

お客さんが望んでもいないことを図面を描いて押し付けるのは、建築士のエゴでしかない。
それを見てしまったが為に、お客さんが本当に望んでいることを見失ってしまうこともある。

この線引きが難しい。

「まぁ、確かに。
図面だけ持って逃げられる可能性もあるしな」

図面だけ持って逃げられる。
プラン図の段階ならよくあることだから仕方ない。