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第31章 -理香side-
“ ビシッ ”
半沢さんの中指が私のおでこを弾いた音と共に、鈍い痛みがおでこに広がる。
「顔、戻ったな。
まだまだ半人前のくせに、しっかり ‘ 建築士 ’ の顔しやがって」
痛みの残るおでこを撫でながら、思い出した。
入社したばっかりの頃、何かあるたびにこんな風にデコピンされたっけ。
手加減はしてくれているが、それなりに痛い。
痛みで滲んだ涙を見て、‘ 痛いなら泣いていいぞ ’ と笑った。
悲しいことや悔しいことがあっても素直に泣けない私に、泣く理由をくれていたのはわかっていたけど…。
それでも生意気な私は、頑なに涙を堪えた。
不器用というか、滑稽だった私。
「痛いなら泣いていいぞ」
あの頃と変わらない目の前の優しさに涙が溢れた。
半沢さんの中指が私のおでこを弾いた音と共に、鈍い痛みがおでこに広がる。
「顔、戻ったな。
まだまだ半人前のくせに、しっかり ‘ 建築士 ’ の顔しやがって」
痛みの残るおでこを撫でながら、思い出した。
入社したばっかりの頃、何かあるたびにこんな風にデコピンされたっけ。
手加減はしてくれているが、それなりに痛い。
痛みで滲んだ涙を見て、‘ 痛いなら泣いていいぞ ’ と笑った。
悲しいことや悔しいことがあっても素直に泣けない私に、泣く理由をくれていたのはわかっていたけど…。
それでも生意気な私は、頑なに涙を堪えた。
不器用というか、滑稽だった私。
「痛いなら泣いていいぞ」
あの頃と変わらない目の前の優しさに涙が溢れた。