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嫌なのに……
第8章 通勤電車
ピピピ…ピピピ…
不快な電子音に亜海は目を開けずに体を起こした。
新居に越してから、初めての仕事日だった。
いつもより2時間も早い目覚まし。
重い頭を思いきり振って、なんとか目を覚ます。
カーテンを開くと、明けたての朝の光と鮮やかな緑の山並みが瞳に飛び込んでくる。
山はあまり好きではなかったが、窓を開けて澄んだ空気を吸い込むと自然と笑顔になった。
よし!
気合いを入れて亜海は出勤の準備に取りかかった。
「おはよ~」
部屋を出た所で声をかけられた。
勿論、同僚だ。
「おはよ。いよいよ今日からだね…」
気怠そうに彼女は頷く。
亜海は彼女と二人で駅に向かった。
同じ会社でも皆が同じ部署ではない。
出勤時間もまちまちな為、一人で出る時もある。
電車デビューが一人でないことに亜海はホッとした。