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嫌なのに……
第4章 山小屋

「爺さんが畑に通う為に作った道だよ。
一応、私道だから俺以外は使わねえけど。」

助手席のドアを開ける。
車で送ってくれるようだ。
恐縮しながら亜海は乗り込んだ。

車が山道を下り、街中を走って、見知った風景に変わると、亜海は心底安堵した。

こんな男性もいるんだな…

言葉遣いは少し乱暴だけど、暴漢魔から助けてくれて、何もせずに送ってくれる……

全ての男に絶望していた亜海の心に、誠は小さな蝋燭のように灯りを灯した。

亜海のマンションに無事着いた。

「あの…本当にありがとうございました。」

車を降りてもう一度深く頭を下げた。

「亜海ちゃん可愛いんだからさ、気を付けなきゃダメだよ?
俺も何時でも助けに行ける訳じゃないからさ。」

いつかまたね、と手を振って誠は去って行った。
亜海はぼんやりと車が消えるまで見送った…


罠に足を踏み入れた事など、微塵も気づかぬままに……




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