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月 ~優香~
第12章 リベンジ
彼女の足が止まった。


そこは、俺が初めて優華を見つけた広場だった。

彼女はガードレールにもたれかかると、左耳のピアスを触りながら、空を見上げた。


今日は新月だ。

月なんてどこにもない。


 優香の瞳には、月が写っているのだろうか?


俺は、彼女の横顔をそっと盗み見る。

優華は、虚ろなひとみで暗闇を見つめ続けていた。



 あぁ、初めて見たときも、こんな感じだった。



優華の透き通るような真っ白の肌が、

夜の闇に吸いこまれて行きそうで、怖くなった。



俺は、自分のコートを脱ぎ、優華にかけた。



「なぁ、優香が闇に吸いこまれてしまいそうだ。

冷えてきたよ。もう帰ろう。」




「………チ?」



ふと我に返った優華が、小さな声で呟く。



「えっ?何?」



優華が顔をあげる。

目が合う。

一瞬、優香の顔が、悲しく微笑んだ。


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