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写性 …SHASEI…
第9章 朝顔
夕方、もう一度朝顔を見にきたが、まだ綺麗に開いていた。
「不思議だね。」
「朝顔じゃないんだよ。」
「そんなことはないはずだけど…」
「お父様、早くご飯の支度しよう?」
沙絵に手を引かれて屋敷に戻った。
お父様が絵を描くのを見るのが好きだった。
お父様は描くものを大事そうに見て紙を見る。
何もないところに素敵に描き写されていくのを見るのが好き。
お父様が描くものを見る顔を見るのが好きだった。
でも私は絵を描いて楽しいとは思わない。
真っ白な紙、何もない世界、それが一番美しいと思った。
何もいらない。お父様だけがいればいい。
お父様が絵を描いているのは楽しそうだけど、自分で描いても全く楽しいと思えなかった。
夕方まで咲いているおかしな朝顔、私もおかしいのかもしれない。
お父様が好きなことが、好きと思えないなんて、おかしいんだ。
私が楽しんでいないことに気づくお父様が、悲しそうだった。
ごめんなさいお父様…
だから、一緒に絵を描いてみようと言われないようにした。
そして、朝顔も嫌いになった。夕方まで咲いて、『描いて』と誘ってくるようで、普通じゃないのは私も同じと言われているようで嫌だった。
「不思議だね。」
「朝顔じゃないんだよ。」
「そんなことはないはずだけど…」
「お父様、早くご飯の支度しよう?」
沙絵に手を引かれて屋敷に戻った。
お父様が絵を描くのを見るのが好きだった。
お父様は描くものを大事そうに見て紙を見る。
何もないところに素敵に描き写されていくのを見るのが好き。
お父様が描くものを見る顔を見るのが好きだった。
でも私は絵を描いて楽しいとは思わない。
真っ白な紙、何もない世界、それが一番美しいと思った。
何もいらない。お父様だけがいればいい。
お父様が絵を描いているのは楽しそうだけど、自分で描いても全く楽しいと思えなかった。
夕方まで咲いているおかしな朝顔、私もおかしいのかもしれない。
お父様が好きなことが、好きと思えないなんて、おかしいんだ。
私が楽しんでいないことに気づくお父様が、悲しそうだった。
ごめんなさいお父様…
だから、一緒に絵を描いてみようと言われないようにした。
そして、朝顔も嫌いになった。夕方まで咲いて、『描いて』と誘ってくるようで、普通じゃないのは私も同じと言われているようで嫌だった。