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写性 …SHASEI…
第9章 朝顔
「色を使うの楽しくない。見て同じように描いても楽しくない。」

そう言いながらも、綺麗に描いていく。

ふと思うと、朝顔は午後になったというのに、萎む気配もない。
沙絵が描き終えるまで咲いていて欲しい。

願いながら朝顔と沙絵の描いた朝顔を見ていた。

「沙絵、凄く上手に描けてるね。」

「でも、お父様、私は面白くないわ。」

「そうか。朝顔が頑張って咲いて、描いて欲しいって言っているよ?」

「何でわかるの?」

「朝顔は朝咲いて、昼には萎んでしまうから朝顔と言うんだよ。」

「ふうん、じゃあ苦しんで頑張ってるの?」

「そうかもしれないね。」

「じゃあ仕方ないから綺麗に描いてあげるわ。」

そう言って沙絵は一生懸命絵に取り組む。

僕はもっと咲いていてくれと心の中で朝顔に祈り続けた。


「間に合った。」

沙絵がクレパスを置く。

「良かったね。不思議な朝顔だね。沙絵に描かれてるのがわかるのかな。」

「違うんじゃない?変な朝顔なんでしょ…」

「そうかなぁ…」


結局、沙絵は絵を描くことは楽しくないようだった。

出来た絵を額に入れて飾っても、あまり嬉しそうではなかった。

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