この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
写性 …SHASEI…
第10章 曼珠沙華
秋から冬までの季節は、沙織と二人で過ごした楽しい記憶が多かった。
でも、沙織を失ってから思うこの季節は、
自分の不甲斐なさ、先を知らずに浮かれていた気持ち、
そんなことばかり思い起こさせる嫌いな季節となってしまった。
自戒の念を忘れないために、実際に亡くなった春でなく、秋に咲く曼珠沙華を記念碑の周りに植えたのだ。
「お父様…?」
っはっ…
考え事をしてしまった。
沙絵は不思議そうな顔で僕を見上げる。
何か沙絵は言っていたのだろうか…
沙織のことに思いを馳せて、沙絵の話を聞いていなかった。
「お父様、具合悪い?」
「いや?」
「具合悪そうだよ。おうちに戻ろう?」
沙絵が僕の手を無理矢理引っ張り屋敷に戻った。
カラン…カラン…
「辛そうだね。私を沙織って呼んで愛して…」
僕はもう平常心で居られなかった。
沙絵の言葉通り受け入れて沙絵を沙織として愛することにした。
「沙織…おいで…」
「はい、ゆう君。」
沙絵が僕を名前で呼ぶ。
沙織しか呼ばなかった呼び名で…
僕はふらふらと沙絵の手を引いて寝室に行った。
「沙織…愛している。」
でも、沙織を失ってから思うこの季節は、
自分の不甲斐なさ、先を知らずに浮かれていた気持ち、
そんなことばかり思い起こさせる嫌いな季節となってしまった。
自戒の念を忘れないために、実際に亡くなった春でなく、秋に咲く曼珠沙華を記念碑の周りに植えたのだ。
「お父様…?」
っはっ…
考え事をしてしまった。
沙絵は不思議そうな顔で僕を見上げる。
何か沙絵は言っていたのだろうか…
沙織のことに思いを馳せて、沙絵の話を聞いていなかった。
「お父様、具合悪い?」
「いや?」
「具合悪そうだよ。おうちに戻ろう?」
沙絵が僕の手を無理矢理引っ張り屋敷に戻った。
カラン…カラン…
「辛そうだね。私を沙織って呼んで愛して…」
僕はもう平常心で居られなかった。
沙絵の言葉通り受け入れて沙絵を沙織として愛することにした。
「沙織…おいで…」
「はい、ゆう君。」
沙絵が僕を名前で呼ぶ。
沙織しか呼ばなかった呼び名で…
僕はふらふらと沙絵の手を引いて寝室に行った。
「沙織…愛している。」