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写性 …SHASEI…
第12章 芍薬
僕は持病がある沙絵が、どこか大人びて冷めていることを気にしていた。

自分の誕生をも憎んでいて、生に対しての執着がない。

誕生日に自分の絵を描いて欲しいという沙絵の気持ちをどうにかして生に繋げたかった。

誕生日を楽しみにして欲しかった。

誕生日の記録を連ねていこう。


でもそれは、沙絵の心を縛り、立ち留まらせることになってしまうとは、この時は思ってもいなかった。

立ち姿の美しい芍薬のように、
六歳の沙絵のポーズのように、


沙織の代わりに僕と結婚するという想いに縛りつけてしまっていたのに気づくのはずっと先のことだった。
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