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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
こうして僕たちは一緒に暮らすことになる。

生まれてくる子供の為に、また、実家に呼び戻されないように、アパートを変えた。

役所に届け出を出すのも控えた。

受賞したからといって、すぐに仕事になる訳でもなく、生活は厳しいものだった。

何とか工面して沙織を病院に通わせて、子供が産まれたら、結婚して、届けを出そう。
お腹の子供も僕の子供として育てよう。

その思いだけが二人の支えだった。

子供の性別が分かり、名前を考えようというと、

沙織は生まれて顔を見てから決めたいと言った。

今から思えば、自分の命の危機を感じ、目標を先延ばしにして、ギリギリまで頑張っていたのだと思う。


寒い冬が終わり、春になる。体調も良くなっていくだろう。

そんな時に予定日よりだいぶ早くに破水してしまう。病院に着きそのままストレッチャーで分娩室に運ばれた。

無知な僕には、待たされる時間が長いのか普通なのかも分からなかった。

赤ちゃんの産声が聞こえると同時に、慌ただしい感じになる。

ナースに呼ばれて分娩室に入るように言われた。

沙織の胸に赤ちゃんが乗せられていた。
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