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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
生まれたんだ…

でも部屋の中の様子は緊迫していて、沙織には点滴が繋がれ、酸素マスクをしている。

心電図の機械音は警戒を伝えるような感じがする。

ナースに沙織の顔の近くに連れていかれると、
僕を見つけ微笑む沙織が、酸素マスクを外す。


「ゆう君…この子をよろしくね。」


言い終えると、微笑みながら瞼を閉じた。

「沙織?」

だらんと下がる酸素マスクを持つ手を握る。

心電図は明らかに警告音となった後、ピーーー
一定の音を放ち、波形の画像が直線になる。

「沙織?」


手を揺すっても反応がない。

「赤ちゃんが落ちてしまいますから…」

後ろから男性医師に抱えられ、引き剥がされた。

「赤ちゃんは無事生まれましたが…残念ですが、お母様は…」

もう片方の手は、胸に置かれた赤ちゃんをちゃんと抱えていて、沙織は、微笑みながら眠っているようにしか見えなかった。

『この子をよろしくね』


沙織の最期の言葉を反芻する。


ナースが赤ちゃんを抱えあげようとする。

「待ってください。沙織に赤ちゃんを抱かせてやってください。

赤ちゃんにできるだけ沙織に抱かれる体感をあげてください。」
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