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写性 …SHASEI…
第14章 金木犀 キンモクセイ
「お父様、また一つお母様のお話をして」

真っ赤な曼珠沙華を前に沙絵が言う。


9月の命日、つまりは沙絵の誕生日と同じ日に、沙織を偲ぼうと沙絵が言い出した。

それが、沙織のことを思ってのことでなく、決めた日以外は沙織でなく自分を見ていて欲しいという思いから出ていると気づいていなかった。

偲ぶ日以外は沙織を追い出してしまいたいと思っていることに…



「幼稚園の間、僕は沙織を守っていた。ナイトか王子かヒーロー気取りでいたんだ。

ところが僕たちは学校に上がって、僕はそのころから絵を描くのが好きで、外で遊ぶより教室にいて絵を描いていた。」

「お父様は小さなころから絵を描いていたのね。」

「そう、僕にはお姉さんが二人いて、おままごとや人形遊びに混ぜられるのが嫌でね。一人で絵を描いて遊んでいたから…」

「ふうん。」

「沙織は可愛らしくておとなしいからね。沙織のことが気になる男の子たちは、つまらないイタズラをして沙織の気を惹こうとしていたから、そんなイタズラから沙織を守っていたんだよ。

でもね。やっかんだ男子のイタズラの対象が沙織から僕に変わったんだ。

絵ばかり描いて女みたいだと言われ始めた。」

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