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写性 …SHASEI…
第14章 金木犀 キンモクセイ
「それでどうなったの?」

「沙織がね。突然男の子たちの間に入り、『絵を描くのは女みたいじゃない、僕はいつも私を守ってくれる強い男なんだ。そんな僕が大好きだから、イタズラしないでくれ』と言ったんだよ。

いつも守るばかりの沙織に守られたんだ。

その時かな、沙織をただ好きなんじゃなく、大事な特別な女の子だって思ったのは…

それから周りからは二人はほっておこうと、ある意味認められたというか。

その時の沙織が体を震わせながらも拳をギュッと握って言い切った顔がとても印象的だったんだ。」

「印象的って忘れられないってこと?」

「そうだね。こんな話で良かったかな?」

「うん、お母様は幸せね。」

「え?」

「死んでしまっても、こんなにお父様に思われていて…

私もお父様を守るよ。お父様が大事、私もお母様みたいに愛されたい。」

「愛してるよ。沙織と関係なく、僕は沙絵を愛してるのに。」

「うん…わかってるよ。でも、お母様が生きていたら、私は愛されてないでしょう?」

すぐに答えなければならないのに、僕は躊躇してしまった。
沙織が生きていたら…
沙織と約束通り結婚して、二人で沙絵を育てていたら…

有り得ない仮定に考えを及ぼしているうちに、沙絵はすくっと立って僕の手を引いた。
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