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写性 …SHASEI…
第21章 猫
夕飯が出来上がってお父様に呼ばれる。

怒られると思っているのであまり味がわからなかった。

「沙絵、今日の午後、物音がしていたけど、どこにいた?」

お父様に優しく聞かれる。

「衣装部屋にいました。」

私は正直に答えた。

「何をしてたの?」

私はうつむいていた。

「言えないのかな?そんなことはしちゃいけないね。」

「お父様だって嘘をついてごまかしたじゃない。」

「そんなことまで聞いていたの?

猫と言ったのはごめん。謝るよ。」

「猫?猫ってなに?」

「二度目に音がした時に猫を飼ってると嘘をついたことでしょう。ごめんなさい。」

「ペットなんて飼えないのに、私は猫じゃない。」


私は応接間を飛び出して自室に戻った。


コンコン…

「沙絵、入るよ。

ごめん、嘘でごまかしたのはごめんなさい。でも、様子を聞き耳たてられるのは嫌なんだ。」

「もう私のこと嫌いになっちゃった?
もう愛してくれないの?
私もあの人と同じようにして?」

「それは、できない。」

「じゃあ、あの部屋にいこう、私がお父様を愛してあげる。」

私は、無言で立ちすくむお父様の手を引っ張りあの部屋に向かった。
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