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写性 …SHASEI…
第22章 紫陽花
紫陽花…梅雨時の花…

雨の雫を纏い小さな花を鞠のようにして咲く。

土の酸度によって花色は赤から青へと変わる。

雨上がりに纏った雫が日の光を帯びて輝く様が素敵で、私は雨上がりの度に写真を撮った。

お父様は今年は紫陽花を描く暇はないようだ。

紫陽花は水上げが悪く、切り花には向かない。切ってしまうと萎れていくのだ。

だから、紫陽花を描くなら、ずっと庭に出なければならない。

雨の合間を縫って庭に出る時間は今年のお父様にはないようだ。

お父様はあの人の話をしないようにしている。
たぶん、ずっと今の状態は続くのだろう。

私も少し考えが変わった。あの人が平日の日中、うちに居続けるのだから、私が身を潜めているのはおかしい。
私はここの住人なんだから…

そう思って、午前中のレッスンの時間は、勉強のわからないところを聞きに行ったり、お茶の時間を一緒にするようになった。

あの人とも話をする。
とはいっても、花や勉強、お茶菓子のことぐらいしか話すことはないのだけど。

仲良くはなれなくても、良く知っておかなければ、
そんな気持ちもあった。


あの人はお母様より五歳年下、まだ子供もいない。
だから、お姉さんと呼ぶことにした。

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