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写性 …SHASEI…
第28章 除夜の鐘
ゴーン…ゴーン…
「何の音?」
「除夜の鐘の音だよ。」
お父様が窓を開ける。外から鐘の音が響いてきた。
「人間には108の煩悩、良くない思いがあると言われていて、
鐘をその数だけ衝いて、その煩悩を振り払って、清らかな心で新年を迎える準備をするんだよ。」
「ふうん…」
私の悪い思いも消えていくのかな…
冷たい空気に体が洗われるような気がした。
「一年いい年でありますように…」
そう言うお父様の腕にしがみついて、私も心の中で唱えた。