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第30章 入学

３月に入ってから、学区の小学校への入学手続きが始まる。

当面の打ち合わせなどが主だった。

慣れるまでは、僕も付き添って学校に行き、会議室等で待機して、一緒に下校する。

最初は１時間だけ出席し体調を見ながら徐々に増やしていくことなどが話し合われた。

学年を下げたところに編入するという案もあったが、沙絵のテストの結果がとても良く本来の学年に入ることになった。

英会話スクールで授業の様子は掴めたものの、休み時間や給食など、学校生活やクラスの子達との関わり面に不安があった。

一対一の会話にしか慣れていないなかで、皆の中に入っていけるのだろうか。


沙絵に話しても大丈夫、大丈夫というだけで、本当は本人が一番不安だろう。


桜が花開く。
沙絵はいつもに増してはしゃぎ毎日桜の写真を撮っていた。


いよいよ、登校初日、沙絵と二人で門の桜の下で写真を撮る。
どうやらネットの情報で入学式に正門や桜の下で写真を撮るということを知り、沙絵が撮りたいといったのだ。

｢スーツ姿のお父様も素敵ね。｣


無理していると感じるが、それを声をかけても余計に気負わせるだけだ。