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写性 …SHASEI…
第30章 入学
「いってきます。」

桜の木に声をかけて出発した。

今日は職員室に寄るので少し早めに出る。学校まで15分の道のりで、他の子供と会うことはなかった。

打ち合わせで何回か歩いた道だが、そのうち沙絵一人で登下校するようになる。
曲がり角の目印などを確認しながら学校まで歩いた。

職員室で分かれ、僕は会議室に向かう。その頃には沙絵はほとんど無口になっていた。

「沙絵、いってらっしゃい。」

「はい。」

緊張した面持ちになる沙絵を見るとこちらも緊張する。近くで見てやれないのが辛かった。




初日は職員室に行き、先生と一緒に教室に向かい、朝のホームルームで転校生として発表される。

お父様が寂しそうに会議室に向かう。
大丈夫、ちゃんと出来る。
担任の先生は女の先生だった。

ガラガラ…

「わぉ…」

学年が上がるごとにクラス替えがあるので、皆、今日が新しいクラスなのだと説明された。

先生が教室のドアを開けると皆慌てて席につく。

「皆さん、今日から皆さんの五年一組の担任になる田中です。」

ワイワイガヤガヤと声が上がる。

机から乗り出して私のことを指差し、話している子もいた。

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