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写性 …SHASEI…
第39章 桜
大晦日にお父様は絵を描きながら、
「今年で最後だね。」
微笑みながら言った。
遠慮している時間はない。二人とも思ったことは隠さずに話すようにした。
留学の話を学校の仲間に話す。
驚いたり寂しがられたけど、最後は皆
「沙絵様らしい。」
と言ってくれた。
留学の手続き面も進み私は三年生になる。
「こうやって桜を沙絵と一緒に見るのもこれで最後だね。」
「でも桜は来年も咲くわよ。」
「そうだね。」
だというのに、お父様は葉の生えない散りゆくだけの桜の絵を描いた。
「なんだか寂しいわね。」
「これを門の絵にしちゃだめかな?」
「良いわよ。」
お父様はあの日以降も毎月門の絵を描き続けていた。
結局、絵を見て訪れた生徒は、いずみさんだけだった。
お父様がいずみさんに宛てて思い出の花を描いているのを知っていた。
でもあまりにメッセージ的なものは門に飾るのを許さなかった。
お父様が毎日待っているのは知っていたけど、
自分から来て欲しかった。
でも、もう時間がない。お父様を一人にさせてしまう訳にはいかない。
実くんも学校に上がったことだし、日中また来てくれたらいいのに…
「今年で最後だね。」
微笑みながら言った。
遠慮している時間はない。二人とも思ったことは隠さずに話すようにした。
留学の話を学校の仲間に話す。
驚いたり寂しがられたけど、最後は皆
「沙絵様らしい。」
と言ってくれた。
留学の手続き面も進み私は三年生になる。
「こうやって桜を沙絵と一緒に見るのもこれで最後だね。」
「でも桜は来年も咲くわよ。」
「そうだね。」
だというのに、お父様は葉の生えない散りゆくだけの桜の絵を描いた。
「なんだか寂しいわね。」
「これを門の絵にしちゃだめかな?」
「良いわよ。」
お父様はあの日以降も毎月門の絵を描き続けていた。
結局、絵を見て訪れた生徒は、いずみさんだけだった。
お父様がいずみさんに宛てて思い出の花を描いているのを知っていた。
でもあまりにメッセージ的なものは門に飾るのを許さなかった。
お父様が毎日待っているのは知っていたけど、
自分から来て欲しかった。
でも、もう時間がない。お父様を一人にさせてしまう訳にはいかない。
実くんも学校に上がったことだし、日中また来てくれたらいいのに…