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写性 …SHASEI…
第39章 桜
いつものように…

僕は絵を描くことを優先させ、いずみに支度をさせてアトリエに来るように言った。


「今、手が離せなくてね。
時間が許すなら、いつものように支度してアトリエに来てください。」




先生の声を直接聞いただけで、震えてしまい涙が出る。

「お邪魔します。」

ワタシは衣装部屋に進んだ。

パタン…

全く変わらず衣紋掛けに用意された着物。

やはり、ワタシだけが歳を取っているのではないか…



いずみさんが衣装部屋に入る。逃げ出さずにアトリエに向かうように声をかけた。


コンコン

「いずみさん、
着物は父が毎日用意して、古くなったものは新調してますから、気にせず袖を通して大丈夫ですよ。」


「あ、は、はい。」


お父様が着物を毎日用意していたことを伝えた。
お父様がこれまでずっといずみさんのことを思い続けていたのに、貴女は家族との生活を選んだ。
それを突き付けてやった。

廊下で沙絵がいずみに声をかけているのがわかった。

沙絵はきっとあの日からの再現をしたいのだろう。
それを見届ける為に様子を窺っているのだ。

余計なことを喋らなくていいように、自分より少し離れた場所にいずみの椅子を用意した。


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