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写性 …SHASEI…
第42章 犬
「蜘蛛に見えたのよ。
縛られて吊らされて囚われているのは、いずみさんなのに、
花に寄る蝶を網で絡めとる蜘蛛に見えたの。

いずみさんが欲に溺れながらも、お父様を離さない魅力が、その美しさが、お父様を虜にする糸に見えた。

だから、その内面を晒け出した蜘蛛の姿を写真にしたかったの。

蜘蛛がお父様なのか、いずみさんなのか、今回よくわかったわ。」

「これだけ醜い姿ですもの、ワタシですね。」

「違うわ。まず醜いと思ってないし、二人とも蜘蛛だったのよ。」

「えっ?」

「お父様は縄で、いずみさんはその美しさで、互いに糸を絡め合い縛り付け、縛られて、巣に留まっているの

8年もの隔たりがあったのにね。」


「沙絵さん、一つだけ言わせてください。」

「何?」

「ワタシ、沙絵さんに言われるほど美しくない。」

「うふふ、綺麗よ。外見もだけどここがね。」

沙絵さんは、ワタシの乳房というより、胸、いや心臓を指すように爪を立てた。

「愛し合える人と出逢ったら、そうなるのかしら…
見返りも何も求めない愛…」

ワタシはそれほど先生を愛しているだろうか、不安になるほどの真っ直ぐな瞳で沙絵さんに見つめられた。


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