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写性 …SHASEI…
第42章 犬
「あの日、いずみさんは奴隷契約に応じると思っていたわ。どうして逃げ出したのかしら…」

「自分に負けたんです。」

「えっ?」

「沙絵さんと先生の関係は、最初は廊下に漏れる声で知りました。

そして、アトリエの奥の間で見ました。

縛られてアトリエで沙絵さんに見られた時、先生を信じました。

でも、先生が咎められていたあの日…

ワタシの目に入ったのは、沙絵さんの体に残された痕でした。

先生はワタシの為に、絶対に痕が残るようなことはしなかった。

それを身体中に付けられる沙絵さんが羨ましかった。」

「あんなに付けられたのは、あの時だけよ。前の日、いずみさんに拒まれて、狂ったように痕を付けたわ。」

先生は自分のことを話されても、全く反応せず絵を描いていた。

「そして、もうひとつ…」

「まだあるの?」

話の成り行きからあの日を語ることになったけど、沙絵さんは呆れて驚いていた。

「沙絵さんが『赤ちゃんができるかも』と堂々と言える立場にあったこと、ワタシには許されないその2つが羨ましかった。

どうしてもできないことが…

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