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写性 …SHASEI…
第44章 三度目の誕生
いずみさんが過ぎた誕生日に触れる。
翔のおまじないでようやく、おめでとうと言えるようになった日に…

私の8年間は一瞬にして消えた。

「誕生日は好きじゃないなんて嘘。」

え…


『好きじゃない』の嘘を『好き』と捉えたのか、いずみさんに安堵の色が見えた。

「大嫌いよ。」

「あの…」

「私の誕生日は母の命日でもあるのよ。母と別れた日、母は私を抱くことなく死んだ日。

お父様や他の人達から私が母を奪ってしまった日。

楽しい日ではないわ。」

自分の誕生の不遇を怒りに変えて一気にいずみさんに話した。


「あっ…ご、ごめんなさい。ワタシ何も考えないで、無神経でした。」


「別にいいわよ。いずみさんが悪いわけじゃないし、
母はどんな思いで私を産んだんでしょうね。
生きたかったでしょうね。
お父様と結婚して夫婦に成れる。約束を目前にして死ななければなかなかった。
辛かったでしょうね。」

沙絵さんが泣き出してしまうのではないか、ワタシは少し俯き加減で聞いていた。

「私が死んじゃえば良かったのよ。好きでもない男の子供なんか、ワタシなんか見捨てて

私なんか生まれてこなければ良かったのよ。」


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