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第52章 make love

｢あああっ…お父様…沙絵は、ずっとずっとお父様を愛していたのに…｣

まだ暗闇にいるSaeを僕たちは優しく撫でる。

｢何で駄目なの？親子だから？血は繋がってないじゃないぃぃ…｣

Saeの悲痛の叫びには答えない。それは彼女自身が導き出すこと…

｢歳が離れてるから？私はもう大人になったでしょ？｣

涙を溢しながらSaeは訴える。

｢わかっている。私より、お母様より、いずみさんを愛してしまったからよね。

でもそれまでは沙絵を愛していたでしょう？

娘でも、幼くても、私を愛していたでしょうぅうう？｣


こうしてSaeは泣き崩れた。

もう何も言わずただ泣き続けた。

｢Sae…｣

ボブが優しく声を掛けた。

ここはボブに任せた方がいい。俺は黙ってSaeの髪を鋤くだけにした。

｢あああっ…私…｣

｢いいんだよ。僕たちには、何も隠す必要はないんだ。
Saeのお父様の話を聞かせて？｣

｢う、うん…私には本当の両親はいないの…
父はいるかもしれないけど…
お母様の両親に育てられた。
祖父が嫌いで今のお父様と暮らしたの。
お父様と結婚すると思ってた。｣