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スローバラードを君に
第7章 junk vs シュガースパイス
美名は、抜けるように澄んだ瞳で俺を見ていた。
何かを言いたげに唇を動かすが、言葉が発せられる前に、俺は唇を塞ぐ。
「……!ん……」
繋ぐ美名の手が、俺の手を強く握り、脚が抵抗する様に僅かに動く。
舌を割り込ませて咥内をまさぐると、美名は首を振る。
頬に冷たい物が触れて、それが涙だと分かった時に俺は唇を離した。
美名は、震えていた。
乱暴にしてしまった事を後悔して、俺はその両手を握りしめ、キスする。
「ごめんね……美名……」
「……しょう君……何故?」
大好きな桜色の唇までわなないているのを見て、胸の奥が堪らなく痛んだ。
――本当に、何故なんだ……
生まれて初めて愛した女の子を、大切に守りたいのに。
なのに、ほんの些細な事で心と身体が言う事を効かなくなるんだ……
「私は……
私は、しょう君の物なのに……
何故……こんな風にするの?」
美名は、涙を溜めた目で俺の頬に触れて、しゃくり上げた。
「――ごめん……ごめん、美名――」
俺は、冷たいステージの上で美名の身体を壊れそうになる程抱き締める。
美名の切ない嗚咽が、誰も居ないホールに響いた。
そして、入り口の扉を薄く開けて、ヒロヤが見ていた事も俺達は気がつかなかった。

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