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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第5章 美少女は名監督?
 日曜日の夕方のランニングから帰ってまずすることは、店に顔を出してキンキンに冷えた麦茶を飲むこと。
 藤園家は、一階が満腹亭の店舗。その奥に俺の部屋。
 二階にダイニングキッチンと、両親の寝室。トイレや風呂も二階にある。

 だから二階の台所に行くより、店舗に入ったほうが早く冷たい飲み物にありつけるんだ。

 ガラガラと店の引き戸を開ける。

「よ、キャプテン」
「池内…頼むよ、ホントに」

 いつかもしたようなやり取りだが、他に客がいない店の中、カウンターに座った池内がうまそうにタバコを吹かしていた。

「ちょっと、親父も。こいつ未成年だぜ」
「まあ他にお客さんもいないしな。俺も高校ん時から吸ってたしなぁ」
「そういうこと。客が入ってきたら吸うのやめるよ」

 はあ…。俺は溜め息ひとつで全部忘れることにして、池内の隣に座る。

「まあまあ、いいじゃない、そんなこと。この子はいい子だよ。はい、お待たせ。鯖の味噌煮」

 基本的に細かいことにこだわらないお袋がトレーに乗ったご飯と味噌汁、漬物の小皿と鯖の味噌煮の乗った大皿を池内の前に置く。ついでみたいに俺にも冷えた麦茶。

「ありがとうございます」

 意外にも笑顔で受け取りきちんと「いただきます」を言って箸を持った。

「うん、おいしい」

 おいしいものを食べている時ほど、女の子が可愛い顔をすることはない。
 親父が以前言っていた言葉だ。

 確かに池内はいい顔をしてご飯を頬張っている。
 明るい茶髪に大振りなピアス。化粧もしている池内には鯖の味噌煮込も漬物も似合わなかったが、本当においしそうに食べている。

 手元にはタバコの箱と百円ライター。

 そして、サッカーの指導教本。

「池内、その本」
「ん? ああ、一応監督さんだからな」
「勉強してくれてんのか?」
「お前達を効率よくしごくためにな」

 唇に付いた味噌をペロリと舐めて笑う。

 その舌の動きが何とも…その、エロく見えた。


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