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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第9章 秋津高校サッカー部
「サッカー部、お疲れ様」
「いい試合だったよ」
「感動しました」
「ボールは友達」
土曜日の選手権大会埼玉県予選準決勝から明けて月曜日。
学校の中で俺はたくさんの言葉をかけられた。
インターハイ準決勝で敗退した時とは全く違う反応。どの言葉にも優しさと暖かさが溢れている。
「おはようさん」
「おす」
始業前の部室。たくさんの言葉をもらったがそれに少し疲れてしまって、何となく部室に足を運んでみると、同じように部室に足を伸ばしたヤスと行きあった。
「ずいぶん声かけられたやろ」
「うん」
「朝からこれはかなわんで。今日一日どんだけ言われるんやろな」
「ほんとに。まあ、嫌なこと言われてるわけじゃないからいいけどさ」
「そやなぁ」
インハイの時を思い出したか、しみじみとヤスは言う。
「俺達負けたのになぁ。みんな優しいで」
そう。俺達は今回も準決勝で武蔵西武に負けた。また勝てなかった。
今回はインハイの時よりも準備に時間をかけた応援団が来てくれていた。学校中の生徒や地域の皆さんの期待を一身に受けて戦った俺達は、また同じ相手に負けてしまった。
きっと前回以上の溜め息地獄の中で学校生活を送ることになるんだろうな。
そんな覚悟をしていたから、みんなの暖かい反応はちょっと以外だった。
誰もが懸命に戦った俺達を称え、労ってくれた。試合前より敗戦後のほうが評判がいいんじゃないかってくらい。
もちろんその中には同情もあったりもするのだろうけど、心からの声もたくさんあったように思う。
準決勝、武蔵西武戦。試合終盤。
ヒデの放ったシュートは確かにゴールネットを揺らした。
だけど、ボールが突き刺さったのはサイドネット。ゴールポストの外側だった。
ノーマークでのシュートをヒデが何故ミスしてしまったのか。その理由は分からない。
でも、誰もヒデを責めようとは思わなかった。むしろ感謝してるくらいだ。
ヒデがいたから、ここまで戦えた。ここまでサッカーを楽しむことが出来た。
ヒデがいたからこそ、俺達のサッカーは熱かった。
始業のチャイムが鳴る。
「行こか」
「うん」
よっこらしょ。親父くさい声を上げて腰を持ち上げるヤスの顔も晴れ晴れとしている。
「いい試合だったよ」
「感動しました」
「ボールは友達」
土曜日の選手権大会埼玉県予選準決勝から明けて月曜日。
学校の中で俺はたくさんの言葉をかけられた。
インターハイ準決勝で敗退した時とは全く違う反応。どの言葉にも優しさと暖かさが溢れている。
「おはようさん」
「おす」
始業前の部室。たくさんの言葉をもらったがそれに少し疲れてしまって、何となく部室に足を運んでみると、同じように部室に足を伸ばしたヤスと行きあった。
「ずいぶん声かけられたやろ」
「うん」
「朝からこれはかなわんで。今日一日どんだけ言われるんやろな」
「ほんとに。まあ、嫌なこと言われてるわけじゃないからいいけどさ」
「そやなぁ」
インハイの時を思い出したか、しみじみとヤスは言う。
「俺達負けたのになぁ。みんな優しいで」
そう。俺達は今回も準決勝で武蔵西武に負けた。また勝てなかった。
今回はインハイの時よりも準備に時間をかけた応援団が来てくれていた。学校中の生徒や地域の皆さんの期待を一身に受けて戦った俺達は、また同じ相手に負けてしまった。
きっと前回以上の溜め息地獄の中で学校生活を送ることになるんだろうな。
そんな覚悟をしていたから、みんなの暖かい反応はちょっと以外だった。
誰もが懸命に戦った俺達を称え、労ってくれた。試合前より敗戦後のほうが評判がいいんじゃないかってくらい。
もちろんその中には同情もあったりもするのだろうけど、心からの声もたくさんあったように思う。
準決勝、武蔵西武戦。試合終盤。
ヒデの放ったシュートは確かにゴールネットを揺らした。
だけど、ボールが突き刺さったのはサイドネット。ゴールポストの外側だった。
ノーマークでのシュートをヒデが何故ミスしてしまったのか。その理由は分からない。
でも、誰もヒデを責めようとは思わなかった。むしろ感謝してるくらいだ。
ヒデがいたから、ここまで戦えた。ここまでサッカーを楽しむことが出来た。
ヒデがいたからこそ、俺達のサッカーは熱かった。
始業のチャイムが鳴る。
「行こか」
「うん」
よっこらしょ。親父くさい声を上げて腰を持ち上げるヤスの顔も晴れ晴れとしている。