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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第9章 秋津高校サッカー部
 すっかり夜が早くなった。街灯が照らす道を池内と…里奈と二人で歩く。

 今はまだ照れくさくもあり「里奈」と呼ぶのには抵抗がある。

 いつか自然に呼べるようになるのだろうか。
 心の底から、相手のことを想って。

 里奈と俺。

 一体今、どんな関係なんだろう。

「今日、泊まりに行ってもいいか?」
「え、ああ…うん」
「…またいやらしいこと考えたな」
「そんなこと…」
「そんなこと?」
「…まあ、その…ある、よ」
「へっへっへ。若いな、シンジ」

 そんな何気ない会話が心地いい。
 池内と一緒にいるのが気持ちがいい。

 今、池内は俺のこと「シンジ」って呼んだよな…?

「そういやさ」
「ん?」
「お前、約束、どうしてくれるんだ?」
「約束…そうか、そうだよな…」

 あたしを全国へ連れて行け。
 あたしが見れなかった夢を。あんた達で。

 あの夜の約束。俺は守れなかった。

「…ごめん」
「……いいよ」

 約束は守れなかった。

 けど。

「まだ終ってない、よな」
「え?」
「まだチャンスあるだろ?」

 約束は、諦めた時に終わりになる。

 俺はまだ諦めていない。

 池内の夢を…里奈の夢を。

「まあ、まだあと一年あるよな」
「うん」
「いいぜ、待っててやる。あたしはさ」

 すっと近付く里奈の顔。爽やかな香り。暖かな息。絡まる腕。

「あんたに惚れたんだ」
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