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第9章 秋津高校サッカー部

「来た来た、来たで！　ヒデや、１０番や！」
「料理も来たぞ、たらふく食え」

　サッカー部が集まっているのは例によって、いつもの満腹亭。

　ただし、十年ぶり。

　今日は十年ぶりの同窓会。

「あ、運ぶの手伝うよ」
「ああ、加藤さんがいればこういうのやってくれるんだけどなぁ」
「仕方ないよ。俺も手伝うぞ」

　十年経っても騒がしい元部員達。

　なんだか懐かしいや。

　俺は満腹亭の厨房からそれを眺める。


　俺は満腹亭を両親から継いだ。まだ両親共に健在だけど、今では忙しい時に少し手伝うくらいで夫婦揃って悠々自適な生活を楽しんでいる。

　俺は実は高校卒業後、J３のサッカーチームにプロ契約してもらって、プロ選手としてプレイしていた時期がある。
　しかし、二年いて一度もトップチームの試合に出られず戦力外通知を受けた。分りやすく言えば解雇。クビってことだね。
　以来俺は満腹亭の二代目として、地元の皆さんや秋高生徒に安くてボリューム満点の料理を提供している。

　やってみると意外と楽しいもんで、今では毎日が充実している。