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第9章 秋津高校サッカー部

「ただいま」

　店の引き戸を開けて入ってきたその「もう一人」は、気の強そうな顔立ちの、ジャージ姿の女性。

「あ、池内さん」
「違うで。今は『藤園さん』や」
「あはは。みんな久しぶり。老けたな」

　里奈は大学に進みスポーツについて学んだ。その後、高校サッカーの監督に必要なB級コーチライセンスを取り、正式に秋高サッカー部の監督に就任した。

　そしてそれを待って、俺と結婚した。

　昼間はサッカー部の監督。その合間に店を手伝ってくれている。

「どう、サッカー部は？」
「ああ、全然ダメ。お前らがいた時がいちばん強かったな」

　なぁ、と俺に目配せ。
　俺は笑って頷いた。