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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第2章 サッカー部快進撃! からの…
 美緒ちゃんが声を枯らして応援してくれている。
 スタンドからは俺達を後押しするように大きな応援が聞こえる。

 それでも試合の流れは変わらなかった。

 何とか攻撃に転じようとするも、ヒデがあっさりとボールを奪われカウンターを食らい、ついに二失点目。

 ヒデががっくりと膝を付いた。

「ヒデ、立って。まだ試合は終ってないよ」
「ごめん…ダメだ。動けない」
「動けないって…どうしたんだよ」
「調子が出ないんだ。体が動かないんだよ」

 ヒデは今までに見たことがない顔をしていた。

 絶望。失望。それに…怒り?

 そんなものが混じって苦しそうな表情になっていた。

 失点後、プレーを再開しない俺達を審判が急かす。

「ヒデ、立とう」
「ごめん、もう無理だ」

 調子が悪いのかね、と審判が声をかけてきた。

「いやいや、ちょっと日に当てられただけで」

 とっさにヤスが割って入るも、ヒデの青白い顔を審判は見逃してくれなかった。

「交代するかね?」
「はい、交代します」
「ちょっとヒデ!」

 ヒデは自ら交代を宣言すると、俺の声を背中に受けても振り返らずグラウンドから出て行く。

「どないなっとんのや?」
「うん…交代だ、イソ!」

 ベンチに声をかける。
 俯いたままベンチに戻ってきたヒデを不審そうに見ながらも、イソが交代で入ってきた。

 美緒ちゃんが不安そうな目で見ている。

 そんな目で見ないでくれ。俺にだってどうしようもないんだ。

 いつの間にかブラスバンドの演奏も応援団の声も小さくなっていた。

 結局その後も失点を重ね、五─〇という大差で俺達は負けた。
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