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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第2章 サッカー部快進撃! からの…
 秋高サッカー部、部室。
 ヒデを中心に部員が沈んだ顔を並べている。

 学校まで戻ってきた後、松木先生は帰った。
 部員だけで話したほうがいいだろうから、と俺にだけ言って帰って行った。

 窓を開け放っているとは言え部室の中は蒸し暑い。
 さらにマネージャーの美緒ちゃんを入れて総勢二十二人が詰め込まれれば、じっとしていても汗が流れてくる。

 そんな状況を打開できない扇風機が、申し訳なさそうな音を立てている。

 誰も口を開かないので、仕方なく俺がヒデに向き合った。

「ヒデ、今日はどうしたんだ?」
「うん…ごめん。負けたのは僕のせいだね」
「そんなことはない。逆に今までどれだけヒデに頼り切ってたかがよく分かったよ。それを自分の力だと勘違いしてた。そこは俺達も悪かったよ」
「いや…うん、ごめん」

 ヒデはまた謝った。そして黙った。

 不調の原因はそんなに言いにくいことなのだろうか?
 もしかして、ヒデの起こしたという「不祥事」とやらに関係あるのかもしれない。

 どのくらい聞いていいものなのだろうか。

 俺達は仲間だ。どんな理由だってきっと理解できる。話してくれれば分かり合える。

 俺はそう信じることにした。

 俺の気持ちが伝わったか、ヒデと目が合った。
 覚悟を決めたか、ポツリ、と一言。

「実は…僕は痴漢なんだ」

 きっと理解できる。

 …出来る、のか?
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