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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第3章 蘇れ、サッカー部!
 練習試合の数日前。インターハイ予選準決勝の夜。

 満腹亭を飛び出した中井さんを私は追いかけた。

「中井さん…待って!」

 スポーツマンらしく中井さんの足は早くて、私がやっと声を出すと気付いて足を止めてくれた。

「加藤さん…」
「どこに行くんですか?」
「…帰るよ。サッカー部にはもう顔を出さない。迷惑をかけたくないんだよ」
「…ばか」
「え…?」

 中井さんはビックリ顔。
 私だって先輩に「ばか」なんて言うなんて、自分で自分にビックリしちゃったよ。

「迷惑って…私が言ったこと忘れちゃったんですか?」
「加藤さんの言ったこと…?」
「中井さんは痴漢をしなければ調子が出ない。それでみんなに迷惑かけたらダメだって、そう思ってるんですよね」
「うん。そうだよ。痴漢がバレたらサッカー部にも迷惑かけるからね」
「だから…!」
「加藤さん…?」

 中井さんが不思議そうな顔で私を見てる。
 何でだろう。涙がポロポロ出てきちゃう。

「悔しいですよ、私…せっかくサッカー部が活気づいて学校のみんなにも期待してもらえて…
 なのに一回負けただけで全部終わりになっちゃうなんて…!」
「…加藤さん」
「私全然サッカー詳しくないけど、でもみんなの頑張る姿見てきたんだから…負けて悔しいのは私も同じなんですよ…」
「うん…でも僕は」
「…やっぱり私の言ったこと忘れちゃったんですね。それも悔しいな。勇気出して言ったんだけどな」
「ごめん…でも、何を…」
「言ったじゃないですか。痴漢がしたくなったら私を触って下さいって」
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