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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第3章 蘇れ、サッカー部!
 中井さんが一人暮らししているアパートは、そこからすぐ近く。
 中井さんはそこに私を連れて行った。

 安いアパート。でもきれいに片付いてあるのは中井さんの性格なのかな。
 急な引越しっていってからかな、家具はほんとに必要なものしかないみたい。

「加藤さん、いいんだね…?」

 緊張した顔で中井さんが言う。
 私だって心臓がバクバクしてる。少しでも落ち着きたくって部屋を見回してみたけど、あんまり効果なかったみたい。

 だって、これから中井さんに触られるんだから。

 まだ彼氏も出来たこともなければ、もちろんエッチだってしたこともない。
 まだキスだってしてないんだから。

 中井さんも困ったようにモジモジしてる。
 二人向き合って立ったまま、時計だけが秒針をコチコチさせてお仕事してる。
 
「あの…恥ずかしいから、するなら早く…」
「うん…じゃあ、あの後ろ向きになってもらってもいいかな」
「後ろ向き…?」
「うん、その…正面からだと何だか恥ずかしくて」
「…分かりました」

 多分、痴漢の時はこうやって後ろからするのね。
 だからこの方がやりやすいのね。

 中井さんのお部屋は畳のお部屋。フローリングの私の部屋にはない柔らかさを足の裏に感じながら、中井さんに背中を向ける。

 そして私は目を閉じた。

 心臓の音がおっきく聞こえる。
 ドキドキに合わせて体が震えちゃう…

 でも…私だってサッカー部の一員なんだから。少しでも役に立ちたいよ。
 
 喜んでもらいたいんだ。

 だから、私は私に出来ることを頑張るよ。

 これで中井さんが元気になってくれるなら。
 私にはこんなことしか出来ないから。
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