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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
 俺が廊下を歩いてたら、ぼうっとして外を眺めていたのは――乾英太。

 コイツ、何を黄昏てんだよ。俺はふっと笑みを零しながら、英太に声をかけた。

「よう」

「裕樹……?」

 何か元気がなくねえ? それに今日は、去河たちと一緒じゃないみたいだし。そんなことをふと考えながら、俺はついからかった風な口を利いてしまう。

「どうしたんだよ。相変わらず、冴えない面してさ」

 そしたらさ――

「黙れ! 皆、みんな――勝手なことばかり、言うなよ!」

 英太が物凄く、怒ったから。俺は思わずビビってしまった。

「え……英太?」

 英太はそのまま、教室の中にズンズンと入って行く。奴とは中学時代からの付き合いだが、あんなに感情的になった処は初めてだ。

 俺、何か悪いことしたか? いや、知ってるって……。

 アイツからすれば、俺はどうせ『裏切り者』なんだろ。まあ今のは、俺に怒ったのとも違うみたいだが……。

 英太は英太なりに、色々とあるらしい。だが今の俺は、人の心配をしてる余裕はなかった。

 今回は俺――澤田裕樹の話。


「あーあ……」

 ため息をついた俺は、さっきの英太と同じように外を眺めた。

 「冴えない面」というなら、それは寧ろ俺の方だろ……。

 ほんの、十分前のことだ。

「裕樹――お前だけには、話しておくか」

 そう言って話し始めたのは――一応、クラスで親しくしてる岸野護。

 護が聞かせたその話は、俺をヘコませるのに十分過ぎた。
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