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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
「うん……知ってた」

「そう……」

 短い会話を往復して、俺たちに沈黙が訪れた。

 ほとんど見たこともない、佳奈のしおらしい態度。それが只事でないことをわかりながら、何もできない自分がもの凄くもどかしかった。

 すると、佳奈は――

「私――行くね」

 そう言って、スッと俺の隣りから離れて行く。

 俺の告白ってやつに、もう結果は出ている。それだから、俺はその背中を呆然と――眺めてる――こと、しか――


「佳奈!」


 だが気がつけば、俺はその名を叫んでいた。


「――!?」


 驚いて振り向いた、佳奈の――その顔を見据えて。


「俺の好きは――俺の中にしかないから――それを、佳奈に――知ってほしかったんだ!」


 その瞬間に吹いた風が、グラウンドの土ぼこりを巻き上げた。

 佳奈の髪が靡き、埃を避けるように右手で瞳を覆った。

 そして、そのまま顔を見せずに――


「ゴメン……私、やっぱり……わかんないからっ!」


 佳奈はそう言い残して、俺の前から走り去って行った。





【なりゆキ――了】
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